介護費用の負担を軽減する6つの公的制度【2026年版】|申請方法と使い分け

「親の介護が始まったら、月いくらかかるんだろう」「貯金がいつまで持つか不安」——介護を控えた40〜50代の最大の心配事はお金です。

でも、知らないと損する公的な負担軽減制度が複数あります。月の自己負担に上限を設ける制度、施設入所時の食費を軽減する制度、住宅改修費の補助など、活用すれば年間数十万円の節約も可能です。本記事では 6つの主要な軽減制度を、申請方法と使い分けまで丁寧に解説します。

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💡 介護費用の負担軽減制度|要点まとめ
  • 主な6制度:①高額介護サービス費 ②高額医療・高額介護合算 ③特定入所者介護サービス費 ④介護休業給付金 ⑤住宅改修費 ⑥福祉用具購入費
  • もっとも効果大:高額介護サービス費(月の自己負担に上限・所得により15,000〜140,100円)
  • 施設入居時の救済:特定入所者介護サービス費で食費・居住費を月5〜10万円軽減
  • 家族の救済:介護休業給付金で給与の67%×最大93日分が出る
  • 共通の相談窓口:地域包括支援センター(無料・市区町村ごとに設置)

介護費用の現実|公的制度を使わないとどうなるか

介護費用の負担軽減6つの公的制度の早見表

厚生労働省の調査(生命保険文化センター)によると、介護に要する一時費用は平均 74万円、月額費用は平均 8.3万円。介護期間は平均5年1ヶ月なので、トータルで 約580万円 に達します。

これは「公的制度を活用した後の自己負担額」のデータ。何も制度を知らないままだと、2〜3倍の負担 になることも珍しくありません。だからこそ、まず制度を知ることが何より大事です。

制度①:高額介護サービス費|最も効く負担軽減

1ヶ月間の介護サービス自己負担額が一定額を超えると、超えた分が後で払い戻される制度です。所得に応じた上限額 が設定されています。

所得区分月の自己負担上限
現役並み所得者Ⅲ(年収約1,160万円〜)140,100円
現役並み所得者Ⅱ(年収約770〜1,160万円)93,000円
現役並み所得者Ⅰ(年収約383〜770万円)44,400円
一般(住民税課税世帯)44,400円
住民税非課税世帯24,600円
年金収入80万円以下等15,000円
  • 申請窓口:市区町村の介護保険担当課
  • 申請方法:上限を超えた月の翌々月以降、自治体から「支給申請書」が郵送される。必要事項記入+振込口座を添えて返送
  • 初回のみ申請:一度申請すれば、次月以降は自動で振り込まれる自治体が多い
  • 注意:施設の食費・居住費・日常生活費は対象外

制度②:高額医療・高額介護合算療養費

1年間(8月〜翌7月)の医療費+介護費の合計が一定額を超えると、超過分が払い戻されます。医療と介護を両方使っている親に効きます。

  • 対象:同一世帯で医療保険+介護保険を利用している場合
  • 年間上限額の目安:所得に応じて19万円〜212万円
  • 申請窓口:市区町村の介護保険担当課 + 加入している医療保険(後期高齢者医療広域連合など)
  • 申請期限:超過した年度の翌7月31日まで遡って2年以内

高額療養費の詳しい仕組みは 高額療養費制度とは?親が入院したときに知っておくべきお金の話 で解説しています。

制度③:特定入所者介護サービス費(補足給付)

介護保険施設(特養・老健・介護医療院・ショートステイ)に入所する低所得者向けに、食費と居住費を軽減 する制度。介護保険サービスの「補足給付」とも呼ばれます。

  • 対象:住民税非課税世帯 など一定の所得・資産要件を満たす方
  • 軽減額:月5〜10万円程度(食費・居住費の負担限度額が引き下げられる)
  • 資産要件:単身で預貯金1,000万円以下、夫婦で2,000万円以下など
  • 申請:「介護保険負担限度額認定証」を市区町村の介護保険担当課で取得

有料老人ホーム・サ高住は対象外。「特養に入りたいけど費用が…」という方には大きな救済になります。

制度④:介護休業給付金|家族(子世代)を支える

働く子世代が親の介護のために休業した場合、雇用保険から給付金が出ます。これを知らずに「介護離職」してしまうと大損です。

  • 対象:要介護2以上の家族を介護する雇用保険加入者
  • 支給額:休業前の給与の 67%(上限あり)
  • 期間:通算 93日まで(最大3回に分割可)
  • 申請:勤務先 → ハローワーク経由で申請

「短期間でいいから介護に集中したい」というケースで使うと、収入の減少を抑えながら親と向き合えます。介護休業中も社会保険料は引き続き支払う必要があるので、その点だけ注意。

制度⑤:住宅改修費|在宅介護を支える

在宅介護のために自宅をバリアフリー化する場合、介護保険から最大 20万円 まで補助が出ます。

  • 対象工事:手すり設置・段差解消・床材の変更・引き戸への交換・洋式トイレへの変更など
  • 自己負担:1〜3割(所得による)。20万円の工事なら自己負担2〜6万円
  • 申請:工事前にケアマネジャーに相談 → 市区町村への事前申請が必須
  • 注意:勝手に工事を始めると補助対象外。必ず事前申請

制度⑥:福祉用具購入費・レンタル

介護用ベッド・車いす・手すりなどの福祉用具に介護保険が適用されます。

  • レンタル可能なもの:介護ベッド・車いす・歩行器など(月数百〜数千円)
  • 購入のみ可能なもの:腰掛便座・入浴補助具・ポータブルトイレなど。年間 10万円 までが介護保険対象
  • 自己負担:1〜3割
  • 注意:レンタル可能なものをわざわざ購入すると介護保険対象外

制度の使い分け|状況別の優先順位

在宅介護と施設介護で使う制度の優先順位

在宅介護の場合

  • ① 高額介護サービス費(月の上限)
  • ② 住宅改修費(バリアフリー化)
  • ③ 福祉用具レンタル・購入
  • ④ 高額医療・高額介護合算(年間上限)
  • ⑤ 子の介護休業給付金

施設入居の場合

  • ① 特定入所者介護サービス費(食費・居住費の軽減)
  • ② 高額介護サービス費(月の上限)
  • ③ 高額医療・高額介護合算(年間上限)

有料老人ホームは①の対象外なので、費用面では特養の方が圧倒的に有利。介護施設選び方ガイド で施設タイプ別の比較を確認してください。

迷ったら相談すべき窓口

① 地域包括支援センター(最強の無料窓口)

市区町村ごとに必ず設置されている総合相談窓口。介護保険申請から制度活用まで、無料でケアマネージャーや社会福祉士が対応。介護のことで分からないことがあれば、まずここに電話

② ケアマネジャー(要介護認定後)

要介護認定が出ると専属のケアマネが付きます。本人の状況に合わせて適切な制度を案内してくれるため、漏れなく活用するには欠かせません。

③ 市区町村の介護保険担当課

申請書類の提出先。電話相談も可能。複雑な手続きの場合は窓口で説明してもらうのが確実です。

よくある質問(FAQ)

Q1. これらの制度は同時に使える?

はい、複数併用できます。むしろ 組み合わせて使うのが前提。例:在宅介護なら「高額介護サービス費+住宅改修費+福祉用具レンタル」を同時利用が一般的です。

Q2. 申請が複雑そう。誰がやる?

本人または家族が申請するのが原則ですが、ケアマネジャーや地域包括支援センターのスタッフが手伝ってくれます。書類記入だけでも一緒にやってもらえるので、遠慮なく頼りましょう。

Q3. 高所得世帯でも使える?

制度ごとに所得制限があります。高額介護サービス費・高額医療介護合算は所得が高いと上限額が高くなりますが利用は可能。特定入所者介護サービス費は住民税非課税世帯が中心。所得を理由に諦めず、まず確認を。

Q4. 親が遠方に住んでいる場合の申請は?

原則として親の住民票がある市区町村の窓口での申請になりますが、郵送やオンライン申請に対応している自治体も増えています。ケアマネが付いていれば、ケアマネ経由で進めるのがスムーズ。遠距離の親の終活 も参考にしてください。

Q5. 制度を使わずに払い続けた分は遡って戻る?

高額介護サービス費・高額医療介護合算は 2年前まで遡って申請 可能です。「使えるはずだったのに使わなかった」場合は、すぐ自治体の窓口に相談しましょう。

まとめ:「知らない」は損。まず1本電話を

介護費用の負担軽減制度は、知っているか知らないかで 年間数十万円〜100万円以上 の差が出ます。「複雑そう」「自分は使えなさそう」と諦める前に、地域包括支援センターに1本電話してみてください。所要時間は5分。それだけで、家族の経済負担が大きく変わります。

あわせて、介護費用シミュレーター で「貯金がいつまで持つか」を計算しておくと、より具体的な備えができます。

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