高額療養費制度とは?親が入院したときに確認したいお金の話
親が突然入院すると、医療費がどれくらいかかるのか不安になりやすいものです。そんなときに先に確認しておきたい制度があります。それが高額療養費制度です。
まず確認することは3つです
- 自己負担限度額
- 限度額認定証
- 払い戻しの申請先
「親の入院費が高い」「高額療養費はいくら戻る?」「限度額認定証はいつ出す?」と不安な方は、親の年齢や所得区分によって確認する点が変わります。

高額療養費制度とは?
高額療養費制度とは、1か月の医療費の自己負担額が一定の上限を超えた場合、超えた分を国が払い戻してくれる制度です。日本の健康保険制度に組み込まれており、すべての健康保険加入者が対象です。
たとえば高額な手術や入院で窓口負担が大きくなった場合でも、高額療養費制度の対象になれば、年齢や所得区分に応じた自己負担上限を超えた分が払い戻されます。
自己負担の上限額(70歳以上の場合)
70歳以上の方は負担割合が1〜3割で、さらに所得に応じた上限額が設定されています。親の年収や資産状況によって区分が変わります。
💡 上限額はできれば最新情報を確認しましょう。
高額療養費の自己負担上限は、年齢・所得区分・加入している健康保険によって変わります。記事内の表は考え方をつかむための参考にし、実際の金額は加入している健康保険、国民健康保険なら市区町村、または厚生労働省の公式情報で確認してください。
| 所得区分 | 外来(個人)の上限 | 入院を含む場合の上限 |
|---|---|---|
| 現役並みⅢ(年収約1,160万円〜) | 252,600円+α | 252,600円+α |
| 現役並みⅡ(年収約770〜1,160万円) | 167,400円+α | 167,400円+α |
| 現役並みⅠ(年収約370〜770万円) | 80,100円+α | 80,100円+α |
| 一般(年収約156〜370万円程度) | 18,000円(年14.4万円が上限) | 57,600円 |
| 住民税非課税世帯Ⅱ | 8,000円 | 24,600円 |
| 住民税非課税世帯Ⅰ(年金80万円以下等) | 8,000円 | 15,000円 |
多くの高齢者は「一般」または「住民税非課税」に該当します。入院しても月6万円以下に収まるケースが多くです。
具体的にいくら節約できるか?計算例
「一般」所得区分の70代の親が入院したケースで計算してみましょう。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 入院・手術費用の総額 | 医療機関で確認 |
| 保険適用後の窓口負担(3割) | 加入保険で確認 |
| 高額療養費制度の自己負担上限(一般区分) | 57,600円 |
| 高額療養費として払い戻される金額 | 約242,400円 |
| 実質の自己負担額 | 約57,600円 |
30万円の窓口負担が約5万7千円まで減る計算になります。この差額(約24万円)が数か月後に払い戻されます。
🏥 高額療養費 自己負担額シミュレーター
70歳以上の方向けの簡易試算ツール。1ヶ月の医療費総額(10割)から、窓口負担額・高額療養費の限度額・還付額を計算します。2026年8月の改正前後を同時に確認できます。
※ 病院からの請求書の「保険適用前の総額」をご入力ください。
⚠ あくまで概算の目安です。実際の金額は加入されている健康保険組合や協会けんぽ等の保険者にご確認ください。多数回該当(4回目以降の軽減)・世帯合算・差額ベッド代・食費・先進医療技術料は計算に含まれていません。また、70歳以上で「外来のみ」の医療費の場合は別途「外来特例(個人ごと月18,000円/2026年8月から22,000円)」が適用され、自己負担額がさらに低くなることがあります。
さらにお得になる「多数回該当」と「世帯合算」
多数回該当(連続して高額になる場合)
同一の健康保険に加入したまま、直近12か月間に3回以上高額療養費の支給を受けた場合、4回目からは上限額がさらに引き下がります。長期入院や治療が続く場合に活用できます。
| 所得区分 | 通常の上限 | 多数回該当後の上限 |
|---|---|---|
| 一般(70歳以上) | 57,600円 | 44,400円 |
世帯合算
同じ健康保険に加入している家族(世帯)の医療費を合算することができます。たとえば、父と母がともに医療機関にかかっている場合、それぞれの自己負担を合算して上限額を超えた分を払い戻すことが可能です(70歳以上は自己負担が21,000円以上のものが対象)。
払い戻しを受けるには手続きが必要

高額療養費は自動的に戻ってくるわけではなく、申請が必要です。以下の手順で手続きを進めます。
- 加入している健康保険の窓口(国民健康保険の場合は市区町村)に問い合わせる
- 申請書類(医療費の領収書など)を提出する
- 通常、診療月から3か月後以降に申請可能
- 審査後2〜3か月で指定口座に振り込まれる
入院前に「限度額適用認定証」を取得しよう
後から払い戻しを受けるのではなく、事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、病院の窓口での支払いを自己負担限度額の範囲に抑えやすくなります。高額な一時払いを避けたい場合は、入院前後に病院や加入している健康保険へ確認しておきましょう。
- 申請先:加入している健康保険(国保は市区町村窓口)
- 必要なもの:保険証・申請書(窓口またはオンラインで入手)
- 発行まで:通常1〜2週間(急ぎの場合は窓口で相談)
💡 入院が決まったら、限度額適用認定証やマイナ保険証での限度額情報の確認を相談しましょう。
高額療養費制度でカバーされないものに注意
注意点として、以下は高額療養費の対象外になる場合があります。病室の希望や食事、保険外診療などは別途かかることがあるため、入院前後に病院の説明や健康保険の案内で確認しましょう。
- 差額ベッド代:個室・少人数部屋を希望した場合などの追加費用
- 食事代:入院時の食事負担。金額は制度改正で変わることがあるため病院で確認
- 先進医療・自由診療の費用:保険外診療は自己負担になる場合があります
- 交通費・日用品:入院生活に伴う生活費
- 介護保険サービスの費用:医療費ではなく介護費として別制度
民間の医療保険に加入している場合は、入院給付金などの対象になることがあります。親が医療保険に加入しているか、証書の場所と連絡先を確認しておきましょう。
合わせて知りたい!似た制度との違い
| 制度名 | 内容 | 申請先 |
|---|---|---|
| 高額療養費制度 | 1か月の医療費の自己負担上限を超えた分を払い戻し | 健康保険窓口 |
| 高額介護サービス費 | 介護保険サービスの自己負担に上限を設ける | 市区町村 |
| 高額医療・高額介護合算制度 | 医療費と介護費を合算して上限を設ける(年間) | 市区町村・健康保険 |
| 埋葬料・葬祭費 | 死亡時に健康保険から支給される給付金 | 健康保険窓口 |
医療費と介護費の両方がかかっている場合は、高額医療・高額介護合算制度を使うことでさらに負担を軽減できます。両方かかっている家庭は、自治体や加入している健康保険に確認してみてください。
📎 あわせて読みたい:入院後の流れとして施設入居を検討する場合は 親の介護施設選び方ガイド もご覧ください。
📎 あわせて読みたい:介護費用の負担軽減制度については 介護費用の負担を軽減する6つの公的制度 でも詳しく解説しています。
お金や介護の話は、家族で共有できる形にしておく
制度や費用を調べるだけで終わると、いざという時に家族が動きにくくなります。確認した内容は、重要書類の場所、連絡先、親の希望と一緒に残しておくと次の行動につながります。
入院費の不安は、介護費用や書類の確認にもつながる
親の入院費を確認するときは、高額療養費制度だけでなく、保険証、限度額認定証、年金、通帳、介護費用の相談先もあわせて整理しておくと、その後の手続きで慌てにくくなります。
入院費の制度は、亡くなった後の払い戻し確認にもつながる
高額療養費制度は、入院中だけでなく、亡くなった後に払い戻しを確認する場面もあります。親の保険証、限度額認定証、振込先、必要書類の置き場所を分けて確認しておきましょう。
よくある質問(FAQ)
Q. 親が亡くなった後に医療費の領収書が出てきたら、高額療養費も確認した方がいいですか?
確認した方がよい場合があります。入院費の領収書、医療費通知、保険者からの案内があれば、払い戻し対象になるかを加入していた健康保険へ確認します。準確定申告で医療費を確認することもあるため、すぐ捨てずに月ごとに分けて保管しましょう。
Q. 親に入院費や保険証のことを聞きにくい時は、どう切り出せばいいですか?
いきなりお金の話から入らず、「入院した時に慌てないように、保険証と薬の場所だけ確認しておきたい」と伝えると話しやすくなります。通帳や年金の話まで一度に聞こうとせず、まずは保険証、限度額適用認定証、診察券、薬の情報に絞ると負担が少なくなります。
Q. 限度額適用認定証や保険証が見つからない場合はどうしますか?
加入している健康保険の窓口、市区町村、後期高齢者医療の窓口に確認します。マイナ保険証の利用状況や再発行の可否は人によって異なるため、入院前後に病院の相談窓口や保険者へ確認しておくと進めやすくなります。
Q. 親が後期高齢者医療保険に加入している場合も対象?
はい、対象です。75歳以上が加入する後期高齢者医療保険でも、高額療養費制度は適用されます。申請先は各都道府県の後期高齢者医療広域連合(手続きは市区町村窓口でも可)になります。
Q. 申請の期限はある?
高額療養費の申請には2年の時効があります。診療を受けた月の翌月1日から2年以内に申請しないと、払い戻しを受けられなくなります。入院後は忘れずに申請しましょう。
Q. 複数の病院にかかっている場合は合算できる?
70歳以上の場合、同じ月に複数の医療機関にかかった場合でも合算できます(ただし21,000円以上の自己負担分が対象)。申請時に複数の領収書をまとめて提出することで、より多くの払い戻しを受けられる場合があります。
亡くなった後に領収書が出てきた時も、払い戻しを確認する
親が亡くなった後に、入院費の領収書や医療費通知が見つかることがあります。高額療養費の対象になるか、準確定申告で確認が必要かを判断するため、月ごとに分けて保管しておくと確認しやすくなります。
亡くなった後の払い戻しは高額療養費の払い戻し申請、税金の確認は準確定申告のやり方で整理しています。
まとめ:入院前に「限度額適用認定証」を準備しよう
- 高額療養費制度で、月の医療費自己負担に上限が設けられる
- 自己負担上限は、年齢・所得区分・加入している健康保険によって変わる
- 「限度額適用認定証」を入院前に取得すると窓口払いを抑えられる
- 差額ベッド代・食事代・先進医療は対象外なので注意
- 介護費と合わせて使える「合算制度」も活用を検討する
- 申請期限は2年以内。忘れずに手続きを
親が入院するかもしれない、という状況になったとき、この制度を知っているだけで「お金の不安」は大きく和らぎます。今のうちに制度の概要と手続き先を把握しておきましょう。
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