親の遺言をデジタルで残す時代へ|子世代が確認したいこと

「親に遺言書を書いてほしい」と思っても、いきなり切り出すのは重く感じやすいものです。

2026年6月に民法等改正法が成立・公布され、電子データで作成し法務局で保管する「保管証書遺言」の創設が予定されています。ただし、施行時期や実際の手続きは内容により異なるため、今すぐスマホだけで有効な遺言が完結するわけではありません。

この記事では、制度の変化をきっかけにしながら、親と話す前に子世代が確認しておきたいことを整理します。

デジタル遺言や終活情報を慎重に確認するための書類とスマホの水彩イラスト
「デジタル遺言とは?」「スマホで遺言を残せる?」「親に遺言の話をどう切り出す?」と気になる場合も、まずは現行制度と公式情報を確認しながら進めることが大切です。

デジタル遺言でまず確認したいこと

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遺言の話は、財産が多い家庭だけのものではありません。預金、不動産、保険、家族への希望などを残しておくことで、いざというときに家族が確認しやすくなります。

デジタル遺言の制度が整っていくとしても、今すぐすべてをスマホだけで完結できるわけではありません。まずは現行制度と、親が今できる準備を分けて考えることが大切です。

制度の話は「今できる準備」と分けて考える

デジタル遺言は便利になりそうな一方で、実際に法的な効力を持たせるには、方式や本人確認などの条件を満たす必要があります。現時点で大切なのは、制度が整うのを待つことよりも、親の意思・重要書類の場所・連絡先を家族が分かる形で残しておくことです。

正確な制度は、法務省の自筆証書遺言書保管制度e-Gov法令検索の民法など、公的情報で確認してください。


遺言書が作られない3つの原因

原因1:「全文手書き」という時代遅れのルール

現行の自筆証書遺言は、民法で「全文、日付及び氏名を自書」することが求められています。パソコンが当たり前の時代に、数ページにわたる文書を手書きで作成するのは、若い世代でも億劫です。ましてや、70代・80代の親にとっては身体的にも大きな負担になります。

「途中まで書いたけど、疲れてやめた」「字が読めないと無効になるかもしれないと思うと怖い」——こうした声は少なくありません。

原因2:「死」を連想させる心理的抵抗

遺言書という言葉には、どうしても「死の準備」というイメージがつきまといます。親御さんの中には、「遺言書を書いて」と言われると、重く受け止めてしまう方もいます。

「遺言を書いて」の一言が、親子の間に見えない壁を作ってしまうことがあるのです。

子世代としても、「縁起でもない」と怒られるのが怖くて、つい先延ばしにしてしまいがちです。

原因3:制度の複雑さと費用

公正証書遺言は公証人が関わるため安心感がありますが、公証役場への予約、証人の手配、費用がかかります。自筆証書遺言の法務局保管制度もありますが、保管の手続き自体に出向く必要があります。

「どの方法がいいのか分からない」「間違えたら無効になるかも」という不安が、行動を止めてしまうのです。


デジタル遺言で何が変わる?——解決の道筋

デジタル遺言制度のポイント

2026年6月に成立・公布された民法等改正法では、電子データ等で作成し、法務局で保管する「保管証書遺言」の創設が予定されています。主な方向性は次のとおりです。

まず、パソコンやスマートフォンで遺言書を作成できるようになります。手書きが不要になるため、高齢者や手が不自由な方でも遺言書を作りやすくなります。

次に、本人確認の仕組みが厳格に設計されています。全文を口述する録画や電子署名など、なりすましを防ぐ対策が盛り込まれる予定です。

さらに、法務局での保管を前提とした制度設計により、紛失や改ざんのリスクが軽減されます。

「スマホで遺言が作れる」という事実だけで、親との会話のきっかけが生まれるかもしれません。

同時に変わる成年後見制度

今回の改正では、成年後見制度の見直しも予定されています。後見・保佐の制度を廃止し、補助の制度を中心に、本人にとって必要な範囲で利用できる仕組みへ変わる方向です。実際の施行時期は政令で定められるため、最新情報は法務省など公的情報で確認しましょう。

認知症の親を持つ方にとって、これは非常に重要な変化です。


今日からできる5つの具体アクション

親の遺言準備で今日からできる5つのアクションの図解

アクション1:まず「知る」ことから始める

法改正の施行時期はまだ先ですが、今から情報を集めておくことで、いざという時にスムーズに動けます。法務省のウェブサイトや、自治体の無料相続相談会などを活用しましょう。

アクション2:「ニュースの話題」として親に伝える

「遺言書を書いて」と直接言うのではなく、「最近ニュースで見たんだけど、スマホで遺言が作れるようになるらしいよ」と、あくまで話題として共有するのがポイントです。ニュースという第三者の視点を借りることで、親も構えずに聞いてくれます。

アクション3:親の不動産を確認する

住所等変更登記の義務化など、不動産に関する制度は時期や内容を確認しておきたい分野です。親名義の不動産がある場合は、「登記の確認だけでもしておこうか」と声をかけ、法務局や専門家へ確認するきっかけにすると自然です。

アクション4:エンディングノートから始める

遺言書はハードルが高くても、エンディングノートなら気軽に始められます。書店や100円ショップでも手に入ります。「私も自分の分を書いてみるから、一緒にやってみない?」と誘えば、親も抵抗なく取り組めるかもしれません。

「一緒にやろう」の一言が、親の背中をそっと押すきっかけになります。

アクション5:専門家への相談窓口を把握しておく

いざ遺言書を作成する段階になったら、弁護士や司法書士、行政書士などへ相談する方法があります。自治体の法律相談会や法テラスなど、公的な相談窓口も確認しておくと確認しやすくなります。


まとめ:「いつかやろう」を「今日、ちょっと調べてみる」に変える

デジタル遺言という新しい制度は、まだ成立前の段階です。すぐに使えるわけではありません。

でも、だからこそ「今のうちに」準備を始める価値があるのです。

法律が変わるのを待つ必要はありません。今日できることは、たくさんあります。ニュースの話題として親に伝えること。エンディングノートを一緒に書いてみること。不動産の登記を確認すること。

私自身も、この記事を書きながら改めて思いました。親が元気なうちに話せることは、実はとても恵まれていることなのだと。

「まだ早い」と思えるうちが、実はまずいいタイミングです。

親の終活は、親のためだけではありません。残される私たちが、後悔なく前を向いて生きていくためのものでもあります。

今日、ほんの少しだけ、一歩を踏み出してみませんか。

💡 デジタル遺言制度|要点まとめ
  • 紙の自筆遺言は紛失・偽造・要件不備のリスクがある
  • 2024年から国がデジタル遺言制度の検討を進行中
  • できるだけ早めにできる:親の遺言の有無確認/公正証書遺言を提案/エンディングノートで意思を記録
  • 制度本格化を待たず、現行の遺言・エンディングノートで意思を残すのが安全
  • 親と「想いをどう残すか」を話すきっかけに

デジタルで残す前に、紙と家族共有も考える

遺言や希望をデジタルで残す場合も、家族が見つけられる形にしておくことが大切です。法的な判断が必要な内容は専門家へ確認し、まずは希望や保管場所を整理しましょう。

遺言の前に、家族が知っておく情報を整理する

遺言は大切なテーマですが、いきなり制度の話をすると重く感じられることがあります。まずは、重要書類の場所、連絡先、財産の大まかな種類、親の希望をエンディングノートに整理しておくと話しやすくなります。

遺言やデジタル制度は、最新情報と専門家確認を前提に読む

遺言やデジタル制度は、制度変更や要件の確認が必要になる分野です。この記事は子世代が論点を知る入口として使い、実際の作成や判断は公的情報、弁護士・司法書士・行政書士などの専門家へ確認しましょう。

よくある質問(FAQ)

Q. デジタル遺言や電子データは、家族がスマホを開けないと確認できませんか?

スマホの中だけに情報を置くと、ロック解除や本人確認で家族が困ることがあります。遺言や重要な連絡先は、スマホ本体ではなく、保管場所や相談先を紙のメモやエンディングノートにも残しておくと確認しやすくなります。

Q. パスワードを家族に全部教える必要がありますか?

全部を共有する必要はありません。むしろ、むやみに共有すると安全面の不安があります。家族には、どのサービスを使っているか、解約や確認が必要なものは何か、困った時にどこへ連絡するかを残す方が現実的です。

Q. デジタル遺言とは何ですか?

スマホやPCなどを使った作成・保管が想定される遺言のデジタル化のことです。実際に法的な効力を持つ条件は制度の内容によって変わるため、最新情報は公的情報で確認してください。

Q. スマホで遺言を作るメリットは?

作成や保管の負担が軽くなる可能性があります。ただし、本人確認・方式・保管方法などの条件を満たす必要があるため、便利さだけで判断しないことが大切です。

Q. デジタル遺言の注意点は?

制度が整っても、家族が存在や連絡先を知らなければ手続きで迷うことがあります。パスワードそのものをむやみに共有するのではなく、保管場所や相談先をエンディングノートなどに残すと確認しやすくなります。

📊 次のステップに進むなら

親の終活で具体的に動き出すなら、テーマ別の比較ガイドが役立ちます。

Q. デジタルで残した希望と、正式な遺言は同じですか?

同じものとして扱えるとは限りません。スマホのメモや録音は、家族が気持ちを確認する手がかりにはなりますが、財産分けなど正式な判断が必要な内容は、法務省・公証役場・専門家に確認する方が安全です。家族向けの希望整理には、エンディングノート無料テンプレートも使えます。

Q. 親がスマホで希望を残す場合、家族は何を確認すればいいですか?

保存場所、ロック解除の扱い、誰に見せてよいか、更新日を確認しましょう。スマホだけに残すと家族が見つけられない場合があるため、紙のメモや重要書類の保管場所と合わせて整理しておくと、家族が見つけやすくなります。