相続放棄の手続きと3か月の期限|必要書類・流れ・注意点の確認ポイント

離れて暮らす親が亡くなり、借金・保証債務・実家の維持費が分からないまま相続放棄を迷っている40〜50代の子世代へ。最初にすることは、財産を処分することではなく、3か月の起算点と借金の手がかりを記録することです。

先に止める・確認する

  • 預金を使う、車や不動産を売る、価値ある遺品を処分するのを止める
  • 親の死亡日と、自分が相続人だと知った日を記録する
  • 通帳・督促状・借入・保証・税金の資料を集める
  • 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所を確認する
相続放棄の手続き5ステップと3か月の期限を示す水彩図解
3か月の起算点と提出先を確認し、財産を処分する前に申述の準備を進めます。

相続放棄は、家庭裁判所へ申述する手続き

相続放棄は、亡くなった人のプラスの財産とマイナスの財産を原則として引き継がないための手続きです。家族同士で『私はいらない』と話すだけでは、家庭裁判所での相続放棄にはなりません。

申述先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。申述が受理されると、照会書への回答などを経て受理通知書が届くことがあります。裁判所ごとの案内に従ってください。

裁判所の公式案内

相続の放棄の申述で、3か月の期間、申述先、申述書、続柄ごとの標準的な添付書類、費用を確認できます。

3か月は、死亡日から一律に数えるとは限らない

原則は『自己のために相続の開始があったことを知った時』から3か月以内です。多くの場合は死亡を知った日と近くなりますが、後順位の相続人が先順位者の放棄によって相続人になった場合など、起算点は状況で変わります。

状況記録しておく日
子・配偶者など先順位の相続人死亡を知った日、自分が相続人だと知った日
先順位者の放棄で相続人になった先順位者の放棄を知った日、裁判所・親族から通知を受けた日
後から借金の通知が届いた通知を受け取った日、借金の存在を初めて知った日
財産調査が3か月で終わらない期間伸長を申し立てるため、早めに家庭裁判所へ相談

3か月を過ぎたように見えても、事情によって検討点があります。『もう無理』と決めつけず、封筒を含む通知書、受取日、親族との連絡記録を残して専門家へ相談してください。

申述前に集めるもの

  • 相続放棄の申述書
  • 亡くなった人の住民票除票または戸籍附票
  • 申述人の戸籍謄本
  • 亡くなった人の死亡が記載された戸籍等
  • 続柄に応じて求められる追加の戸籍
  • 借金や財産を知った時期が分かる通知書・封筒
  • 収入印紙と家庭裁判所が指定する郵便切手

裁判所の公式案内では、費用は申述人1人につき収入印紙800円分と連絡用の郵便切手です。郵便切手の金額・内訳は家庭裁判所ごとに異なります。戸籍も申述人の続柄で必要範囲が変わります。

期限のある手続き書類をカレンダーと一緒に整理する水彩イラスト
期限だけを先に数えず、対象になるか、誰が提出するか、足りない書類は何かを分けて確認します。

財産を動かす前に、単純承認への影響を確認する

相続財産の全部または一部を処分すると、相続を承認したと扱われ、相続放棄へ影響する可能性があります。ただし、どの行為が『処分』に当たるかは個別事情で判断されます。

いったん止めたい行為先にすること
故人の預金を生活費・葬儀費へ使う金融機関・弁護士へ確認し、支払記録を残す
車・不動産・貴金属を売る価値と所有関係を確認し、処分前に相談する
借金や未払いを故人の財産から払う債権者からの通知を保管し、支払前に相談する
実家の家財を大量に捨てる価値のある物を分け、写真と一覧を残す

腐敗しやすい物の処分や建物の安全確保など、保存のために必要な対応もあります。迷う物は写真を撮り、処分理由と費用を記録してから、家庭裁判所や弁護士へ確認してください。

放棄後の実家管理は『現に占有』しているかで変わる

2023年4月施行の改正民法では、相続放棄時に相続財産を現に占有している人は、相続人または相続財産清算人へ引き渡すまで、その財産を保存する義務を負うと整理されています。放棄した人全員が、無条件で実家を管理し続けるという意味ではありません。

法務省の改正民法資料では、義務の対象を放棄時に財産を現に占有している場合に限り、内容も保存にとどまると説明しています。実家の鍵を持ち居住・管理しているなど、具体的な状況を専門家へ伝えてください。

相続放棄すると、次順位の親族へ移ることがある

順位主な相続人注意点
常に相続人配偶者配偶者自身が放棄するかは別に判断
第1順位子・代襲相続人全員が放棄すると次順位へ移る可能性
第2順位父母など直系尊属先順位者の放棄を知った時期を記録
第3順位兄弟姉妹・代襲相続人多数の戸籍が必要になることがある

自分の放棄が受理されても、ほかの親族の放棄が自動で完了するわけではありません。次順位になり得る親族へ、借金の手がかりと申述状況を共有します。

限定承認との違い

限定承認は、相続で得た財産の範囲内で債務を負担する制度です。相続人が複数いる場合は、共同相続人全員が共同して、原則3か月以内に家庭裁判所へ申述します。公告や精算など手続きが複雑なため、早めに弁護士へ相談してください。

相続放棄、限定承認、期間伸長などの手続きは、裁判所の相続・遺産分割の案内から確認できます。

相続放棄までの5ステップ

  1. 死亡日・相続人だと知った日・借金を知った日を記録する
  2. 財産と債務の手がかりを処分せず集める
  3. 管轄家庭裁判所と必要書類を確認する
  4. 3か月に間に合わない可能性があれば期間伸長を相談する
  5. 申述後の照会・受理通知と債権者対応を保管する

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よくある質問(FAQ)

Q. 相続放棄の3か月は死亡日からですか?

原則は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。後順位者や後から借金を知った場合は個別判断になり得るため、日付と資料を整理して相談してください。

Q. 3か月で財産調査が終わらない場合は?

家庭裁判所へ相続の承認・放棄の期間伸長を申し立てられる場合があります。期限後ではなく、間に合わないと分かった段階で確認してください。

Q. 兄弟の1人だけ相続放棄できますか?

相続放棄は相続人ごとに行う手続きです。ただし、放棄により次順位の親族が相続人になることがあるため、申述状況と借金の手がかりを共有してください。

Q. 放棄後も空き家を管理し続けますか?

放棄時に相続財産を現に占有している場合は、引渡しまで保存義務を負うことがあります。すべての放棄者に一律の管理義務が残るわけではありません。

Q. 葬儀費用を故人の預金から払ってもよいですか?

相続放棄への影響は支払内容や事情で判断が分かれる可能性があります。口座から動かす前に金融機関と弁護士へ確認し、支払先・金額・領収書を残してください。

まとめ|日付を記録し、財産を動かす前に相談する

  • 相続放棄は家庭裁判所への申述が必要
  • 3か月は死亡日から一律ではなく、相続開始を知った時が原則
  • 間に合わない場合は期間伸長を早めに確認する
  • 預金・不動産・車・価値ある遺品を処分する前に相談する
  • 放棄後の保存義務は、放棄時に現に占有しているかで変わる